金管楽器は、木管楽器と違って、楽器が壊れることはほぼないですよね。
修理に出したことがないという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、個人のお手入れ次第で、楽器の状態は大きく変化してしまう楽器でもあります。
常に吹きやすく、綺麗な状態が保てるお手入れ方法を、今回の記事でお伝えしたいと思います。
正しいお手入れ方法を身に付け、習慣化してみましょう。
金管楽器の特徴
金管楽器と木管楽器のお手入れの違いについて考えてみましょう。
1つ目の大きな違いは、半田分解などを除いて、全分解が自分でできるということです。
木管楽器は、細かな部品が多く、専門的に学んでいる人でなければ分解する事はできません。
それに比べて金管楽器は、ピストン、抜差管などが組み立って成り立っているため、細かな部品もなく、単純な構造になっています。
そのため、小学生から大人まで、演奏者は誰でも分解する事が出来ます。
2つ目は、汚れが溜まりやすいということです。
また、オイルやグリスも、定期的に拭き取ることをしないと、汚れになってしまいます。
全分解ができても、クリーニングロッドで届かない部分や、底蓋やウォーターキイの周辺など、水分が溜まりやすいところは特に汚れがひどい楽器をよく見かけます。
お手入れ不足の楽器にある症状
お手入れ不足になると、どのような症状が起きてしまうでしょうか。
良く起こる症状を2つ紹介いたします。
管内に汚れが溜まってしまう
まず、クリーニング不足に起こる症状で1番起こりやすいことは、管内に汚れが溜まってしまうことです。
金管楽器を演奏される方はよくあることだと思いますが、管内の表面やピストンのくぼみの側面に、緑色のような膜が張り付いていることがあると思います。
これは、息に含まれていた汚れや水蒸気、オイル、グリスなどの汚れが溜まってしまった時にでる、ヘドロ状のものです。
ヘドロが多いと、息の流れが詰まってしまって、吹奏感に大きく影響が出てしまいます。
また、このヘドロが乾いて、固まってしまうと、そのまま固着してしまうこともあります。
例えば、トランペットの2番抜差管が抜けなかったり、底蓋が外れなかったりという状況を見たことある方、いらっしゃるのではないでしょうか。
その他にも、金属が錆びてしまっている楽器、よくありますよね。
汚れは金属の劣化にも繋がりますので、汚れを長期間放置していたりすると、錆が出てきてしまいます。
錆びは専用の薬品を使用しなければ落ちませんし、吹奏感、機能性が低下します。
汚れが溜まってしまうと、楽器として成り立たなくなってしまうのです。
オイル、グリスアップをすることは大切ですが、その前に汚れを拭き取ることが重要です。
クリーニングを省いてしまう方、意外と多くいらっしゃるのですよ。
オイル、グリスが不足しているときにおこる症状
次にオイル、グリスが不足しているときにおこる症状を紹介いたします。
オイルやグリスは、ピストンや抜差管など、可動する部分の金属同士がスムーズな動きになるようにするので、オイルやグリスが不足していると動きが悪くなります。
また、金属同士の接触部分に傷ができてしまい、さらに動きに影響が出てしまいます。
そのほかにも、抜差管が抜けなくなってしまったり、雑音がひどくなってしまうことがよくあります。
金管楽器共通のお手入れ方法
金管楽器に共通するお手入れ方法をご紹介します。
まず必要なものは、クリーニングロッド、ガーゼです。
クリーニングロッドの先端にガーゼを通します。
途中までクリーニングロッドに巻き付けて、端をクリーニングロッドの先端に合わせて折り、そのままクリーニングロッドに巻き付けます。
これを使用して、抜差管の中を掃除しましょう。
中を掃除できたら、外側もガーゼで拭いてください。
細かいところまで丁寧に汚れを取ってくださいね。
汚れを拭き取ったら、オイル、グリスをさします。
はみ出たオイル、グリスはガーゼなどで、拭き取るようにしてください。
各楽器、場所によってオイルやグリスの種類が違うので、間違えないように気を付けましょう。
汚れがひどいときや、管内が詰まったような感覚があったら、管体丸洗いをお勧めいたします。
丸洗いは毎日やるようなことではありませんが、何か月も、何年もやっていないと、管内の汚れがひどくなってしまい、詰まったような吹奏感になってしまいます。
手の空いた時にやるようにしましょう。
管体丸洗いは、グラスソープ、フレキシブルクリーナーを使用して行います。
楽器の入る大きな桶のようなものに水を入れ、グラスソープを適量入れます。楽器を水に浸し、フレキシブルクリーナーを使用して管内を洗います。
この際、フェルトやコルクをとっておくといいですね。
水によって消耗してしまうので、ご注意ください。
お手入れする際の注意点
お手入れの注意点として、クリーニングする際、ガーゼを管内に残してしまわないようにしてください。
クリーニングロッドを持つときは、一緒にガーゼの端も持って行うといいですね。
クリーニングやオイル、グリスアップをする際、楽器を分解するかと思いますが、ピストンや抜差管が固いときは、無理やり分解するのはやめましょう。
管体が曲がってしまったり、半田付けの部分が取れてしまったりします。
固いときはそのまま楽器店に持っていくことが安全ですね。
クリーニング、オイル、グリスアップをした後、動きが極端に悪くなってしまうことがあります。
クリーニング前は動きが出ていた場合、古くなったオイルやグリスは粘度が高くなっていますので、それによって動きがよくなっていたということになります。
新しいオイルやグリスの粘度が低くなってしまい、動きが悪くなってしまうのです。
これは調整、修理が必要になりますので、お近くの楽器店で見てもらうようにしましょう。
ロータリー楽器について
先ほど、ピストンや抜差管のクリーニング方法について紹介いたしましたが、ロータリー楽器のケーシング部分は分解することができません。
ローターの部分は専用の工具が必要になりますので、ロータリーのクリーニングや調整をする際は、リペアマンに見てもらうようにしましょう。
中身はこのようになっていますよ。
ロータリー楽器にとって、ローターの部分はとても大切になります。
レバーが動きにくかったり、レバーを押した際に雑音がする場合は、修理に出すことをお勧めいたします。
金管楽器でも、専門家に定期的にメンテナンスへ
金管楽器の基本的なお手入れ方法を紹介させていただきました。
金管楽器は、演奏者のお手入れ方法によって、状態が大きく変わってしまうものです。
正しいお手入れ法を身につけ、お手入れを習慣化しましょう。
また、金管楽器も定期的なメンテナンスは必要になります。 当店でも承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。